外傷
- 傷は消毒はしてはいけません。水道水で洗います。消毒しても、感染の予防にはならないし、感染の治療にもなりません。
- 傷をガーゼで被覆してはいけません。傷にくっつかない素材の被覆材を貼付します。傷は乾燥させると、治癒が遅れます。ガーゼは傷を乾燥させてしまい、痂疲をつくってしまいます。
- 処置に伴う痛みが軽いのがメリットの一つで、特に子どもさんに向いている治療法です。
- これが、夏井 睦先生が日本中に普及させようと尽力されている新しい創傷治療法です。
夏井先生のホームページはこちらです。 - 夏井先生が提唱されている創傷治癒の模式図はこちらです。
この模式図のように、真皮が少しでも残っていると、そこに存在する毛包から、表皮細胞が増殖を始め、やがて、創部を覆うようになります。
夏井先生の勤務されている練馬光が丘病院、傷の治療センターに2日間、見学に行ってきました。
ナースとともに、外傷、熱傷の患者さんの湿潤療法にあたられているのを、間近で見学し、本やネットではわかりづらかった疑問が解決しました。
熱傷
- 水泡ができていないⅠ度熱傷なら、プラスチベースか白色ワセリンを塗布した食品用ラップあるいはズイコウパッド(市販の被覆材)で被覆する。
- 水疱を形成したⅡ度の熱傷では、水泡膜をすべて除去し、プラスチベースか白色ワセリンを塗布した食品用ラップあるいはズイコウパッドで被覆する。
患者さんは強い痛みを自覚しているが、このようにラップや被覆材で覆うと、すぐに痛みは軽くなります。早ければ、1週間程度で上皮ができて、何も覆わなくてよくなります。 - 皮膚全層に達したⅢ度の熱傷でも、時間はかかるけれども、植皮術を行わなくても必ず上皮化します。処置の仕方はII度熱傷と全く同じです。手足のⅢ度熱傷の場合、安静にしないで、受傷初期から積極的に手足を動かすことが、その後の関節の拘縮の予防にとって重要です。
- Ⅲ度熱傷の1例をお示しします。
76歳、男性 足のくるぶしのIII度の熱傷
高齢の皮膚全層の熱傷でも、手術で植皮しなくても、このように治癒します(新しい創傷治療より引用)